鳴門市が堆積土砂を撤去する予定の亀浦漁港=同市鳴門町八木の鼻

 県特産のなると金時などの栽培に欠かせない「手入れ砂」の確保が困難になる中、鳴門市が船舶の座礁対策として海底から除去している堆積土砂の活用を求める声が市内の農家から上がっている。海砂の採取は県が禁止しているが、現在使用できる吉野川市の川砂は運搬コストがかかるため。海砂の採取を巡っては、2003年に徳島空港の拡張整備に伴い活用が認められた特例もあり、農家は「不要なら活用させてほしい」と訴えている。

 市は、管理する同市鳴門町八木の鼻の亀浦漁港内の堆積土砂を04年から数年おきに除去している。本年度は2100万円をかけて約6千立方メートルを取り除く予定で、年内にも着手する。これまで除去した土砂は市内の海岸に置いていた。

 市内のなると金時やラッキョウの砂地畑の栽培面積は約700ヘクタール。1アール当たり15立方メートルの手入れ砂が必要とされ、撤去土砂は40ヘクタール分に相当する。

 砂地の畑は、連作によって砂の粒子が細かくなり、通気性や排水性が低下する。品質確保には3~5年ごとに新しい砂を加えるのが好ましいとされる。

 しかし、海砂の採取は海岸の環境保全の観点から県が1978年に禁止。香川など瀬戸内海沿岸の5県でも採取を認めていない。

 確保が困難になっているため、県は特例で徳島空港の拡張・埋め立て工事に伴う海砂の活用を認めたほか、国交省に要望し、2007年度から吉野川中流域・善入寺島の川砂が利用できるようになった。利用は5年ごとに更新され、本年度末で期限が切れるため、継続に向けて協議している。 ただ、吉野川の砂は運送コストがネックとなって鳴門市内の農家は利用を控えており、10年以上砂を更新できていない農家もある。品質への影響が懸念されているケースもあるという。

 なると金時農家の浜田知子さん(59)=同町里浦=は「吉野川の砂は高くて入れる余裕がない。近くで安く手に入ればありがたい」と話す。

 市は、今後の方策について県と協議している。市の黒川靖夫経済建設部長は「海砂を直ちに活用することはできないが、ブランドの維持向上のために手入れ砂は必要不可欠。入手しやすいシステムを検討したい」と話している。