AEDを使った救急蘇生講習会で命の大切さを学ぶ児童=徳島市の内町小学校

 徳島県内でも普及が進む自動体外式除細動器(AED)。心疾患による突然死の防止に高い効果を発揮するが、使った経験のない人は多い。徳島市消防局は昨年から、市内の全小中学校で救急蘇生講習会を開き、使用法を指導している。いざというときにAEDを使える人を将来的に増やすとともに、救命活動を体験することで人命や安全、安心の大切さを知ってもらう試みだ。

 事業は「次世代の救急救命育成プロジェクト」と名付けられ、市内33小学校の5年または6年生の児童と19中学校のいずれか一つの学年の生徒が対象。アニメのDVDを上映し、突然死の状況やAEDを使った一連の処置方法を学びながら、市消防局職員の指導を受けて、実際に1人ずつAEDを操作する。

 昨年度の受講者は小学生1997人、中学生2226人。7月に今年の講習を終えた内町小学校のある男子児童は「少しの勇気で助かる命があると知った。倒れた人がいたら助けたい」と感想を書いた。岡本弘子校長は「講習会は子どもが命の尊さを知るよい機会。しっかり学び、救命の実践者になってほしい」と話す。

 多くの学校に出向いている消防局職員は「大人より先入観が少なく、AEDの音声メッセージの指示通り真剣に機器を操作する子どもが多い」との印象を持っている。

 市消防局が昨年度、講習を受けた中学生に行ったアンケートによると、「今後AEDを使うことができるか」との問いに対し、1664人の生徒のうち約9割が「使うことができる」と回答。「講習会を再び受けたいか」との質問にも約9割が「受けたい」と答えたという。

 市消防局は「AEDは電気が流れる装置でもあり、扱いに注意が必要で、いざというときに使えるようになるには習熟が必要。子どもたちには卒業後も2、3年に1回ぐらいは一般の講習会を受け、大人になった時に使えるようになってほしい」と望んでいる。

 ■県施設 98%に設置

 AEDの設置義務や設置の報告義務はないため、徳島県内の設置状況は正確につかめないが、官民の施設で着実に進んでいる。

 県施設では、県民が利用する157カ所のうち155カ所(274台)に置かれ、設置率は98・7%。多い順に中央病院16台、万代本庁舎8台、三好病院の7台となっている。

 AEDを使った場合の救命率は心肺停止から3分で7割、5分で5割、10分だとゼロになるといわれ、わずかな時間の差が生死を分ける。

 こうしたことから徳島市消防局は、東西両消防署の救急車が到着するまでに5分以上かかる市内各地域のコンビニ14店舗に協力を求め、AEDを置いてもらった。

 また、市では工場や老人ホーム、専門学校、百貨店、ホテル、入浴施設、遊技場などAEDを所有している113事業所(県有施設を含む)を「まちかど救急ステーション」に指定。各ステーションには、救急蘇生講習会を受けた従業員がおり、スムーズに対応してもらうことが期待できるという。