美馬市の三頭トンネルで2016年5月、居眠り運転をして5人を死傷させたとして、禁錮4年6月が確定した前美馬市長牧田久受刑者(77)に、死亡した高松市の夫婦の娘2人が約1億1200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁立川支部は30日、約8千万円の支払いを命じた。
瀬戸茂峰裁判官は「両親を同時に亡くし、被った精神的苦痛は甚大だ」と指摘した。
判決などによると、牧田前市長は現職だった16年5月5日、美馬市美馬町の国道438号の三頭トンネルでワゴン車を居眠り運転し、対向車線にはみ出して軽乗用車と衝突。軽乗用車に乗っていた高松市の溝渕清明さん=当時(78)=や妻の美佐子さん=同(75)=ら3人を死亡させ、女性1人に6カ月の重傷を負わせた。ワゴン車に同乗していた自身の妻にも2カ月の重傷を負わせた。
牧田前市長自身も重傷を負い、事故の責任を取って市長を辞職。自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われ、17年5月に徳島地裁で実刑判決を受けた。