徳島ヴォルティスが16日、就任1年目の長島裕明監督を事実上、解任した理由は、成績不振でJ1昇格を逃したことだった。最終戦を残して22チーム中9位。昨年の14位に比べると健闘したとはいえ、自動昇格はおろか、プレーオフ進出ラインの6位内に一度も入ることはなかった。ホームゲームの入場者数も減少する中、チーム再建のためには2年連続の監督交代が不可欠と判断した。
今季は開幕から7戦で1勝1分け5敗とスタートダッシュに失敗。就任時に掲げたアグレッシブ(攻撃的)で、コレクティブ(組織的)なサッカーは影を潜めた。
前半戦は勝ち負けを繰り返して波に乗れず、連勝は1度もなかった。「システムをはっきりさせるのに時間がかかった。(3バックを採用した当初は)ディフェンスに負担が大きく簡単ではなかった」と長島監督は振り返る。
システムが安定し、失点が減るようになった後半戦は順位が尻上がりにアップ。ただ、遅きに失した。前半のつけが大きく響き、10月8日の讃岐戦で引き分けた時点で、J1に自動昇格できる2位内に入る可能性はなくなった。30日の金沢戦で引き分けた結果、プレーオフに出場できないことも確定した。
一方、ホーム戦の1試合平均入場者数は4305人と低迷。昨年の5019人と比べても大きく落ち込んだ。岸田一宏社長は入場者数減を直接の「解任」理由とはしていないが、減少の原因が弱さにあるのは明らかだ。クラブ側は「チーム力を高めてくれたことには感謝している」と一定の評価をしながらも、苦渋の決断を迫られることになった。
さらにシーズン後半、長島監督本人から「責任を取りたい」という申し出が何度かあったという。そうした状況も考慮し、長島監督との2年契約を1年へと変更した上で「契約満了」とした。
後任監督についてはすでに候補者を数人に絞り込んでいるもようだ。岸田社長は「継続すべきことは継続する。その上で攻撃力と得点力、そして結果を上げられる人材を選んでいく」との意向を示しており、早ければ月内にも発表する。