[上]徳島県が台湾の大学に建てる施設のイメージ図(県提供)[下]台湾への輸出に向け、県産スギと伝統技術「阿波指物」で制作した建具=徳島市福島1の富永ジョイナー

 徳島県産材の海外への販路を開拓しようと県は、台湾の大学内に県産スギや阿波指物(さしもの)を使った施設を建築する。県産材の良さを知ってもらうのと同時に県内の職人を派遣し、木造建築の技術も伝える。「まるごと輸出」と名付けた初めての試みで、徳島が誇る県産材と伝統技術をPRする。

 建築するのは、台北市内の国立台湾科技大が新設する環境関連施設。木造平屋45平方メートルの外装や内装に県産スギ14立方メートルを使う。台湾への輸出事業で連携する建材業者「木童(こどう)」(神戸市)から依頼を受けた。

 着工は12月中旬を予定し、県内の職人3、4人が建築に携わる。見学会も開き、現地の技術者や大学生らに木造建築物の施工技術を学んでもらう。

 県産スギを使った玄関ドアや引き戸はすでに完成。建具製作会社「富永ジョイナー」(徳島市)がくぎを使わずに板材を組み合わせる「阿波指物」の技法で作った。木を曲げて鳴門の渦をデザインするなど細部まで意匠を凝らした。

 富永啓司社長(59)は「徳島の伝統技術を海外に発信する機会。需要が高まれば、将来的には若手の人材確保や技術継承に期待できる」と話す。

 県林業戦略課によると、森林伐採の規制が厳しい台湾はコンクリート住宅が主流で、木造建築を請け負う職人が少ない。ただ富裕層を中心に高級感のある木造住宅への関心が高まっているという。

 台湾へはこれまでも試験的に県産材を輸出していたが、伝統技術をセットでアピールすることで、本格輸出につなげる。同課は「徳島ならではの付加価値を高めることで県産材の消費量を増やし、県内林業を盛り上げていきたい」としている。