海陽町が、老朽が激しく災害時に崩壊の危険があるなどとして、町内の空き家5戸を空き家対策特別措置法に基づく「特定空き家」に指定していたことが18日、分かった。このうち1戸は所有者が10月から解体工事を進めている。昨年5月の同法施行後、県内の市町村が特定空き家の指定をしたのは初めて。

 同町は、町民からの情報を受け、職員が実地調査を行った。倒壊の可能性や周囲の生活環境に影響があると判断し、7月に4戸、9月に1戸を特定空き家に指定した。その後、解体や改修を促す指導文書を、それぞれの所有者に送付した。

 解体しているのは、同町浅川の木造平屋の空き家(約50平方メートル)。建築年は不明だが、梁が朽ちたり屋根が曲がったりしていたという。指定を受け、町内に住む所有者が、町の補助事業を活用して69万円(町が46万円補助)かけて工事している。

 残りの4戸は、所有者が県外にいて連絡が取りにくいことなどから、今後の対応はまだ決まっていない。

 町保健環境課は「老朽化の状況や周囲への影響などを考え判断した」としている。

 空き家対策特別措置法は、全国的に放置空き家が増加する中、近隣に危険や迷惑を及ぼす可能性のある空き家の解消を目的に制定。市町村が「特定空き家」に指定し、所有者に助言や指導、勧告、命令を出すことができる。従わなければ、行政代執行で撤去する。

 総務省の調査によると、県内の空き家は2013年10月時点で約6万4千戸に上っている。住宅総戸数に占める空き家率は17・5%と、全国平均の13・5%を大きく上回る。

 県の「とくしま回帰」住宅対策総合支援センターは、市町村が「特定空き家」に指定しやすくするため、チェックポイントなどを盛り込んだマニュアルの策定を進めている。