運営を巡って混乱した今夏の徳島市の阿波踊り(8月12~15日)を検証するため、主催団体の「阿波おどり実行委員会」が設けた有識者会議(豊永寛二委員長、6人)の第2回会合が31日、市役所であった。今夏の収支が2900万円の赤字となったことを踏まえて議論し、有名連に長年払ってきた「出演料」について、来年は支出しないよう実行委に提言することを決めた。
出演料は県阿波踊り協会、阿波おどり振興協会などに所属する33連に対し、有料・無料演舞場への踊り込み、にわか連の指導、選抜阿波おどりと前夜祭への出演の謝礼などとして払ってきた。内訳は演舞場への踊り込みが1回2万円、にわか連の指導が1回18万円など。支出総額は今年が1385万円、昨年は1542万円だった。
会議では豊永委員長(弁護士)が「(東京の)高円寺では1連5万円を徴収している」と、出演料見直しについて議論を促した。委員からは「巨額の累積赤字がある中で、支出に疑問を感じる人は多い。赤字解消までゼロにしては」「踊る人にも、(阿波踊りのために)身銭を切って頑張ろうという姿勢が必要では」といった意見が相次いだ。
議論の結果、にわか連の指導以外、出演料の支払い中止を実行委に求めることで一致。豊永委員長は「興行的要素の強い選抜と前夜祭は、(出演者の駐車場代などに充ててもらう)実費は払ってもよいのでは」と話した。
さらに有名連と企業連に限っては、逆に実行委に「協力金」を支払ってもらうよう提言する方針も決定。2020年以降の課題として▽集客や踊り子確保の面から、開催日を8月のいずれかの木金土日曜に固定▽事業の運営主体を民間に委託する-なども検討された。
有識者会議は今後、2回程度開き、年内に議論をまとめた提言書を実行委に提出する。次回会合は11月30日の予定。