美馬市穴吹町三島の光泉寺で27日午後1時から、お経を唱えながら使い古された扇子を燃やす「扇(おうぎ)供養」が営まれる。日本舞踊の流派の一つ雁音(かりがね)流(本部・徳島市住吉6)の雁音歌寿夏代表=本名・石原和子、徳島市出身、東京在住=が、扇子に感謝の気持ちを込めて供養し、芸の向上を祈願しようと寺の協力を得て企画。来年以降も開き、県民が扇子を供養する場として定着させたい考えだ。
当日は本堂で法要があり、雁音代表や門下生が持参した50~60本の扇子を供養する。門下生約10人が奉納舞踊を披露した後、古淵慈祥住職(58)がお経を唱える中、扇子をたき上げる。
雁音流は、歌舞伎俳優の坂田藤十郎氏を家元とし、1992年に発足。現在、徳島、東京で約200人が稽古を積む。扇子は、長年使うと扇面の和紙が剥がれるなどするが、なかなか捨てられずたまる一方だった。
雁音代表は、扇子を供養する場を設けられないかと考え、徳島新聞カルチャーセンター鴨島セレブ校(吉野川市)の日本舞踊講座の生徒で、古淵住職の妻の和代さん(59)に打診。寺側も、地域の過疎高齢化が進む中、多くの人に寺に訪れてもらいたいと了承した。
雁音代表によると、県内で扇供養が継続して行われている場所はないという。古淵住職は「針供養のように定着させたい」と言い、雁音代表も「扇には家元の家紋があり、簡単に捨てることができない。来年からは日本舞踊の他流派のみならず、阿波踊りの関係者らにも来てもらいたい」と話した。