石井町で栽培されたバナナと泉さん=同町藍畑

 石井町藍畑の団体職員、泉祐輔さん(27)が自宅の畑でバナナの栽培と初収穫に成功し、周囲を驚かせている。生来のバナナ好きが高じて昨年から趣味として栽培を始め、今秋、約250本を収穫した。「徳島産のバナナはまずない」(県農林水産総合技術支援センター)というハードルを突破した泉さんは「将来はバナナ園ができれば」と夢を膨らませている。

 泉さんは100種類以上あるバナナの中から「アイスクリーム」「タニー」「宮崎モンキー」「三尺」などの10種類を選び、自宅の畑約70平方メートルや家の玄関などで栽培に挑戦。42株が育ち、このうち寒さに強いアイスクリームの1株から、収穫できた。

 バナナへの挑戦は昨年11月に始まった。約70センチの苗を植え、4カ月間は特製のミニ温室ハウスで育てた。今年4月に高さ1・8メートルまで伸びたため、露地に移した。8月に2・5メートル、10月には5・4メートル、株の直径約30センチまで育ち、実を付けた。

 農水支援センター農産園芸研究課によると、バナナは冬場に5度以上の環境を保てられれば、育てることは可能。ただ株が大きいため育てるには広い面積が必要で、費用対効果の面で収支を取るのが難しく、県内で栽培の動きはない。同課は「温度管理や吉野川に面した肥沃な土壌が良かったのでは」と分析する。

 泉さんの家は代々農業を営み、主に野沢菜やスイートコーンを生産。もともとバナナが好物だった上、新たな作物への興味や「バナナはなかなか育たない」という周囲の声が、持ち前のチャレンジ精神に火を付けた。

 実が成ったアイスクリームの株は、一度は枯れる寸前までいったが、仕事の昼休みに家に戻って面倒を見るほどの「バナナ愛」で、復活につなげた。

 食べるまでには熟成させなければならないため、味わうのはもう少し先になる。バナナを知人に分けて、まずは収穫の喜びをかみしめた泉さんは「バナナは身近な割に、成長過程はほとんど知られていない。来年は栽培面積を広げて、地元の子どもたちにバナナが育つ様子を楽しんでもらえる環境をつくりたい」と意気込んでいる。