過去に徳島県を襲った南海地震の被害や教訓が記された石碑などを紹介する企画展「南海地震津波碑と地震痕跡」が26日、板野町犬伏の県立埋蔵文化財総合センターで始まった。1946年12月21日の昭和南海地震から70年の節目を迎えるのを機に、防災意識を高めてもらおうと県教委が初めて企画した。
県内では、地震津波に関する石碑などが沿岸部を中心に38基確認されている。そのうち企画展では、1361年の正平(しょうへい)地震以降5回の南海地震に関する石碑15基を写真とパネルで紹介した。
パネルには碑文の内容や建立年のほか、おおよその津波高、死者数などが記され、地震と津波の恐ろしさを石に刻んでまで後世に伝えようとした先人の思いが感じられる。
海陽町の鞆浦漁港近くの大岩には1605年の慶長地震、1707年の宝永地震に伴う2回の津波の被害が彫られており、特に慶長地震では30メートルの津波で100人余りが犠牲になったと伝えている。
このほか、同町浅川にある安政、昭和両地震の津波到達地点を知らせる石標や、徳島市南沖洲の「蛭子神社百度石」を紹介。百度石には、津波が来ると聞いて船に乗った人の中に死者が出たと記されている。
板野町の古城遺跡など県内の遺跡で見つかった液状化現象の痕跡写真3枚も掲示した。過去の南海地震による揺れで、地下の砂が地上へ噴出した様子が見て取れる。徳島市から訪れた70代男性は「防災意識の低い人でも、碑などを実際に現地で見れば意識が高まると感じた」と話した。
12月4日には、徳島大の村上仁士名誉教授による「県南部の地震津波碑について」と題した講演などがある。
12月11日まで。入場無料。11月28日と12月5日は休館日。開館時間は午前9時半から午後5時まで。問い合わせは同センター<電088(672)4545>。