世界30カ国の高校生が津波対策について意見を交わす「世界津波の日 高校生サミット」は最終日の26日、高知県黒潮町の土佐西南大規模公園体育館で分科会と総会を行った。徳島県から参加している城南高校(徳島市)の生徒らが津波の発生リスクなどに関する研究成果を発表。総会で「次代を担う防災リーダーとして、災害に強い国づくりに貢献する」とした「黒潮宣言」を採択し、閉会した。
分科会では国内外96校の約360人が12組に分かれ、津波対策や復興事業の進め方をテーマに発表した。
城南高応用数理科の2年生6人は、同校敷地の地下で取れた土から貝殻が見つかったことから、一帯がかつて海だったとみられることなどを紹介。「地質や地域に残る史料を基に津波被害の可能性を再検証し、住民の防災意識を啓発すべきだ」と呼び掛けた。
インドネシアのバンダアチェ第一高校の6人は、国内の学校が、約13万人が死亡したスマトラ沖地震(2004年)の教訓を生かし、避難訓練や防災教育に力を入れていることを説明し「地域住民にも津波や洪水対策を啓発している」と話した。
総会では、宮城県の石巻高2年雁部那由多(がんべなゆた)さん(17)ら3人が、東日本大震災で家や友人を失った喪失感を乗り越えるために語り部活動を始めた経緯について語り「災害はどこでも起きるという意識を持ち、防災教育を進めてほしい」と訴えた。
黒潮宣言は、各分科会の代表者による概要報告を受けて作られた。災害から多くの命を守るため、サミット参加者が防災知識の学習や地域社会への啓発、ボランティア活動に積極的に取り組むことをうたっている。
チリのカレルマプ高校3年タマラ・メサさん(17)は「さまざまな国の防災対策を知ることができ、有意義だった」と充実した表情。城南高の竹田晴香さん(17)は「サミットで学んだことを学校の生徒と共有し、地域に発信したい」と力を込めた。