フジの名所をPRするため、石井町とJA名西郡が、紫色が濃い品種の野菜を「藤野菜」と名付けて栽培に力を入れている。当面はカリフラワーとホウレンソウ、水菜の特定の品種を栽培し、今冬の収穫と販売を目指す。フジの花をモチーフにした町の人気キャラクター「ふじっこちゃん」に続く存在に育て、町のPRにつなげたい考えだ。
町などは町内の農家の協力を得て、9月に5軒で3品目の計2万8千株を植え付けた。11月に収穫が始まり、東京都内のスーパーや町内の産直市などで売り出される。12月17日には町内で品評会もある。国や県の補助を受け、総事業費450万円で取り組んでいる。
宗本一平さん(36)と松本伸二さん(38)が経営する「むねまつ農園」(同町高川原)では、2015年冬から試験的に藤野菜を栽培している。宗本さんは「藤野菜ですぐ収益が上がるわけではないが、町の農業に活気が出るのがいい。阿波市の『美~ナス』のように町に貢献できたら」と話す。
旧農大跡地(同町石井)に石井農場を構えている徳島大生物資源産業学部とも連携し、藤野菜の健康成分についても調べる。同学部の学生らでつくるアグリクラブの12人が10月22日、宗本さんの指導を受けながら約2アールに水菜の種をまいた。今後、学部の教授と共に抗酸化成分のポリフェノールが通常の野菜とどれだけ違うかなどを分析し、販売促進に生かす。
同クラブの中西智暉副部長(19)=1年=は「石井のフジは有名。藤野菜はインパクトが大きいと思うし、町の人と一緒にうまくPRしていきたい」と意気込んだ。