美馬市木屋平地区で唯一の薬局・こやだいら薬局を運営するNPO法人「山の薬剤師たち」は12月1日、阿波市吉野町柿原に障害児通所支援センター「たなごころ吉野」をオープンさせる。「山の薬剤師たち」が薬局以外の施設を開くのは2カ所目で、阿波市東部で手薄だった障害児支援に貢献するとともに、法人の収益増につなげ、経営が厳しい薬局の運営を支える。
センターは木造2階建ての1階95平方メートルを活用し、学習室や訓練室などを備える。空き家を改修し、家庭菜園ができる庭もある。保育士ら専属の職員4人が放課後などに障害児を預かり、学習支援などを行う。対象は5~18歳で1日の定員は10人。
NPOは2010年、約20年間薬局がなかった木屋平地区に薬局を開設。しかし、人口が約670人の木屋平地区では1日に受け付ける処方せんが少なく、薬局の運営は赤字が続いている。収益の安定化に向け、デイサービスや障害者就労支援などを組み合わせた複合福祉施設を13年、鳴門市に設けていた。
さらに経営を強化させるため新施設の設置を目指し、障害児支援施設がない阿波市東部の吉野町でセンターの開設を決めた。
瀬川正昭理事長(63)=徳島文理大教授、上板町西分=は「阿波市周辺の障害児の支援体制を充実させるとともに、木屋平で事業が続けられるよう、経営の足腰を強めていきたい」と話している。