徳島県内の海岸に今年、アカウミガメが上陸した回数のうち産卵したのは24・4%で、1999年の調査開始以来最低だったことが3日、阿南市の富岡公民館で行われた県アカウミガメ上陸・産卵調査報告会で明らかになった。調査に当たったNPO法人・日本ウミガメ協議会(大阪府枚方市)は「台風などで砂の量が減り、産卵できる環境が少なかったことが可能性として考えられる」としている。

 県から委託を受けた日本ウミガメ協議会が5月から8月にかけて、阿南市や美波町など8市町の海岸42カ所で調査。上陸は14海岸、産卵は6海岸で確認された。

 全体の上陸回数は前年比約23%増の86回、産卵回数は前年比約32%減の21回で、上陸回数に対する産卵回数の割合を示す「産卵成功率」は24・4%にとどまった。これまで40~60%台が多く、20%台は初めてだった。

 協議会によると、ウミガメの産卵に必要な砂の深さは約50センチとされる。台風などで砂浜が浸食された場合、上陸しても産卵ができず、そのシーズンは同じ海岸で産卵する可能性が低くなるという。

 海岸別では、上陸回数は淡島海岸(阿南市)の23回が最多で、北の脇海岸(同市)と大里松原海岸(海陽町)がともに15回で続いた。大浜海岸(美波町)は7回だった。産卵回数が最も多かったのは、北の脇の6回。次いで大里松原の5回、淡島と木岐白浜(美波町)の3回で、大浜は2回だった。

 報告会には、各地域の調査員や自治体の職員ら約20人が出席。同協議会の松沢慶将会長らが説明した。