きょうは「文化の日」である。徳島県立近代美術館では4日まで阿南市羽ノ浦町出身の日本画家、日下八光にスポットを当てた特別展が開催されている。

 所蔵作品だけではできない分野や作家、作品を紹介するのが特別展だ。今回は日下の母校である東京芸術大学から作品を借りるなどして内容を充実させた。

 特別展は多くの県民が美術館に足を運ぶきっかけにもなる。しかし、本年度は夏の「佐野洋子の世界展」などと合わせて3回だけで、寂しい気がしてならない。

 県立近代美術館は1990年11月3日にオープン。それ以後、1年間に5回の特別展を開くことが慣例だった。91年のように6回を数える年もある。

 2007年度から状況が変わる。予算削減のあおりを受けて4回に減り、10年度以降は3回というのも珍しくなくなった。14~16年度は2回だけだった。

 絵画、彫刻などの美術品を展示し、県民に感動が味わえる機会を数多く提供することは、県立近代美術館の大きな使命だろう。

 特別展と銘打っていなくても質の高い展覧会やイベントはある。特別展の数だけで充実度を測ることはできないとはいえ、ペースダウンしていることは、元気さが失われているようで残念に思う。

 資料収集にも急ブレーキがかかっている。

 開館以来、県立近代美術館は、国内外のすぐれた美術品を購入してきた。学芸員が作家や関係者と太いパイプを築くことによって収集できた作品も少なくない。

 ピカソをはじめ、国内外の著名作家はもちろん、徳島ゆかりの山下菊二らの作品は、他の美術館からの貸し出し依頼も多い。

 ところが、厳しい財政状況の中で県美術品等取得基金が廃止となり、資料購入費は極端に減少。13年度以降は130万円まで減り、購入できる美術品は毎年数点にとどまっている。

 むろん、県立近代美術館には、特別展の開催や資料収集だけが求められているわけではない。

 最近は学校や各種団体と連携し、鑑賞教育にも力を入れている。学芸員が児童生徒らに解説したり、出前授業をしたりすることで美術ファンを増やしていく考えだ。地道だが、それらの取り組みは高く評価されよう。

 とはいえ、展示、収集、調査研究、教育普及の全てが充実してこそ、真に魅力ある施設と言えるのではないか。厳しい財務状況などにより、展示は蓄積した所蔵品を軸に充実させる方針のようだが、十分と言えるだろうか。

 2年後に開園30周年を迎える県文化の森総合公園は本県の文化活動を先導するシンボルであるはずだ。県や県教委は、中心となる県立近代美術館の在り方をもっと議論してほしい。