徳島県が身体障害者対象の職員採用試験に「介護者なしで職務の遂行が可能」などと、特定の障害者を制限するような不適切な条件を付けていた問題で、徳島市など県内11市町と県教委でも同様に「介護(助)者なしで職務遂行が可能」「自力で通勤できる」との条件を付けたり、過去に付けていたりしていたことが2日、徳島新聞の取材で分かった。
不適切な条件を付けているのは徳島、小松島、美馬、三好の4市と石井、那賀、牟岐、海陽の4町。阿波市は2017年度の試験で条件を付け、それ以外の年度は障害者の採用枠を設けていない。鳴門市は15年度まで受験要件に入れていたが、それ以降は採用枠を設けていない。吉野川市は障害者を対象にした臨時職員の登録者申し込み資格に、不適切な条件を付けている。
大半の自治体が、他団体の事例を参考にしたとしている。「介護者なし」の理由として多くの市町が「障害のある職員が仕事をする中で、介護者が業務情報を知ることは好ましくない」とし、「自力通勤」については「雇用者側が送迎できないため」と答えた。
どの市町も特定の障害者を排除したり、家族らの送迎を否定したりするものではないとしている。
今後の対応について海陽町は「もう少し分かりやすく書くべきだった。撤廃して新しい受験要件を見直す」とし、他市町の多くは「国や県の動向を注視して文言削除など適切に対応する」とした。
また、県教委の身障者を対象にした教員採用試験は2008年度から実施。県教委教職員課によると、少人数の学校も多く、異動も伴うことから条件を設定した。本年度に実施した19年度試験は3人程度の採用予定だったが、4人の応募に対して合格者はなかった。
一方、1日に発覚した県職員採用試験について、一般事務、学校事務、警察事務と3区分ある募集枠のうち、学校事務だけが「活字印刷による出題および口頭による口述考査に対応できる者」との条件を加えていたことも分かった。学校事務は小中学校に配属され、運営費管理や文書管理などを担当する。配属は原則1人で、人数が少ないため条件を設けた。