カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)の整備を政府に促す議員立法の推進法案が衆院を通過した6日、徳島県民の間ではカジノ解禁への賛否が分かれた。鳴門市へのIR誘致を目指す同市の民間団体は「待ち望んだ瞬間」と歓迎するものの、治安悪化を懸念する市民も少なくない。増加が懸念されるギャンブル依存症への具体的対策も示されておらず、専門医は「依存症に苦しむ人を増やすだけの悪法だ」と批判している。

 鳴門商工会議所や市うずしお観光協会などでつくる鳴門カッシーノ健康保養リゾート誘致協議会の中西昭憲会長(70)=松茂町広島、精神科医=は、約14年前から温泉療養施設を備えたヨーロッパ型のIR構想を提言している。

 中西会長は「カジノの収益を還元することで、市民の健康増進や地域の観光振興などに貢献できる」と構想のメリットを強調する。今後はフォーラムを開いて住民に理解を深めてもらいながら、市側にカジノ特区の申請を促していく。

 推進法が今国会で成立した場合、政府は施行後1年以内をめどにカジノ解禁実施法(特定複合観光施設区域整備法)を整備し、具体的な制度設計を行う。鳴門市は「法整備の状況と市民の意見を考慮した上で、特区申請するかどうかを判断したい」としている。

 しかし、カジノ誘致による治安悪化を懸念する声は根強い。鳴門市の無職男性(66)は「お金に困る人が増えれば、周辺の犯罪率上昇につながるのではないか。カジノは解禁すべきでない」と言う。

 推進法は依存症対策として、カジノへの入場禁止など必要な措置を講じるとしている。依存症治療の専門医で藍里病院(上板町)副院長の吉田精次さん(61)は「全く根拠がない対策だ。お金があるうちは入場させ、依存症になったら切り捨てるということ。治療できる医師が絶対的に不足している中、依存症患者を増やしてどうするのか」と憤った。