向井康介さん

 徳島県三好市出身の向井康介さん(東京都新宿区)が脚本を手掛けた映画「ハード・コア」が23日、全国公開される。映画の脚本は昨年の「愚行録」以来で、平成の世の中を真っすぐに生きる不器用な男たちを描いている。

 ハード・コアは、1990年代に漫画雑誌「グランドチャンピオン」で連載された「ハード・コア 平成地獄ブラザーズ」(原作・狩撫麻礼、作画・いましろたかし)の映画化。

 人間関係が希薄になった都会の片隅でほそぼそと生きる権藤右近は、純粋さ故に世間になじめないアウトローだった。居場所をなくした右近の仕事は山奥での埋蔵金探し。心を許せるのは共に働く牛山だけだった。ある日、牛山が古びたロボットを発見した。そのロボットが超高性能であることに右近の弟の左近が気付き、3人は100億円を超える埋蔵金を見つける、というストーリー。

 向井さんと大阪芸大時代からコンビを組んでいる山下敦弘さんが監督を務めた。権藤右近役を山田孝之さん、牛山を荒川良々さん、左近を佐藤健さんが演じ、松たか子さんも出演している。

映画「ハード・コア」の一場面(©2018「ハード・コア」製作委員会)

 向井さんが原作の漫画と出合ったのは約20年前。「いましろ作品によって僕の倫理観が培われた言っても過言ではない」と評価するほど大きな影響を受けた。

 脚本で特にこだわったのが、右近と左近が殴り合いのけんかをする場面。「間違っているのが世の中だろう」と諦観している左近に対し、「間違っていることを間違っていると言って何がいけないんだ」と怒る右近。「いましろイズム」の神髄ともいえるシーンの描写に神経を使った。

 向井さんは「時代にのまれず、正義を押し通そうとする主人公のやせ我慢を肯定したいと思いながら脚本を書いた」と話している。

 「ハード・コア」の四国での上映予定はない。