被災地への思いを語る和合さん=徳島文理大アカンサスホール

 東日本大震災以降、被災地の現状を詩で表現し続けてきた福島市の詩人和合亮一さん(48)を招いた講演会(徳島新聞販売店会、徳島文理大主催)が10日、徳島市山城町の徳島文理大アカンサスホールであった。震災と東京電力福島第1原発事故の影響で苦しむ古里への思いを語る和合さんの講演に、約300人が耳を傾けた。

 和合さんは震災直後の絶望と悲しみの中で「言葉にすがるように詩を書いた」と振り返った。自ら避難所などを回って聞いた被災体験を紹介し「家族や友人を亡くし、家や地域の絆も失われた現実が福島にはある。唯一奪われなかった人々の記憶を、言葉の力で残していかなければいけない」と訴えた。

 その後、復興支援への感謝の気持ちが込められた被災児童の詩を朗読。津波で行方不明となっていた祖父の遺体が見つかり「ありがとう。さよならが言えました」とつづった詩に、会場のあちこちからすすり泣く声が聞こえた。

 講演会は徳島新聞の朝刊1面コラム「鳴潮」の書き写しノートの発売3周年を記念して行われた。徳島新聞社の岡本光雄論説委員長、元四国放送アナウンサー岩瀬弥永子さんを交えた座談会もあり、和合さんは「言葉を書くということは積極的な行為で、生きる力を与える。言葉の持つ重みや魂を感じる取り組みとして、子どもたちに書く機会をより多く与えてほしい」と強調した。