孔子は酒を無性に愛したそうだ。気持ちのこもった一文が、論語にある。<酒は量なし、乱に及ばず>。好きな酒について説いた内容は・・・。ちまたの解釈は、微妙に異なる二つに割れている
まず「酒を飲む量は決めていなくても、酔いつぶれるほどは飲まない」というもの。もう一つは「酔い乱れなければ、どれだけでも飲む」。どちらも飲み過ぎ注意の意味を含んでいるが、飲酒への慎重さがにじむのは、前者である
英国で警察に逮捕された日航の副操縦士は「酔い乱れなければ」派だったのだろうか。搭乗直前に警察が行った検査で、英基準の10倍ものアルコールが検出されたという
日航は社内規定で、搭乗12時間前以降の飲酒を禁じている。この規定は守っていたようだが、酩酊の域まで飲んでいたのだとすれば規範意識が問われよう。日航の自社検査では「異常なしだった」というから、あぜんとする
全日空グループでも先月機長の飲酒が影響して国内線の発着が乱れるトラブルが起きた。相次ぐ不祥事を深刻に受け止め、対策を徹底してもらわねば困る
異国には酒を戒めるこんな格言がある。<1杯目は健康のため、2杯目は喜び、3杯目は心地よさ、4杯目は愚かさのため>。多くの命を預かって、航空機を操るのである。4杯目を控えるより、前日は飲まぬ方が望ましい。