唯斗丸に乗り、息子の活躍を喜ぶ森勝美さん=徳島県海陽町浅川

 プロ野球ソフトバンクの日本一に貢献した徳島県海陽町出身の森唯斗(ゆいと)投手(26)は、漁師の父勝美さん(50)=同町浅川=に漁船を贈るなど故郷への愛着が強い。船を「唯斗丸」と名付け、船体に背番号と同じ「38」を記した勝美さんは、3日の日本シリーズで胴上げ投手となった息子に感無量だ。

 3トン漁船「唯斗丸」は、2014年にドラフト2位でソフトバンクに入った唯斗さんが契約金の一部でプレゼントした。両親を大切に思い、年末年始は欠かさず帰省する。

 勝美さんは、唯斗さんの才能を育んだのは海陽沖の漁業という。海部高時代は部活で野球に打ち込みつつ、繁忙期や休日はイセエビ漁を手伝った。波が荒い日に揺れる船上で網からエビを外すのは大変。「投球フォームがきれいなのは、漁でバランス感覚と足腰が鍛えられたのでは」と笑う。

 ソフトバンクの全試合を、テレビで妻みきさん(51)と一緒に観戦する。楽しみは試合後の晩酌。「勝った日は酒がおいしい。これからも活躍してほしい」。息子からもらった船をいとおしそうに見詰めた。