マグカップ、グラタン皿、サラダボウル・・・。大分県別府市の倉庫に、花やサクランボといったかわいらしい柄と、ずっしりとした質感が印象的な食器が並ぶ。クッキージャーという菓子の入れ物は、ふたがウサギの顔になっていて高級な置物のようだ。

 「日本にない感じがいいでしょ」。柄を色付けした深い青が異国情緒を漂わせる。東欧の国、ポーランドで約100年前に生まれた「ポーランド食器」。手に取って見つめる目に深い愛情がのぞく。

 日本でほとんど流通していなかったポーランド食器の通信販売を始めたのは2009年。もともと大分県内の企業が運営していた通販サイトを引き継いだ。ちょうどポーランド食器を売り出そうとしていて、倉庫に残っていたサンプル品を見て「売れる」と直感が働いた。通販サイトは当時赤字に陥っていたが、取り扱いをこの食器に一本化することで経営を立て直した。

 良さを再認識したのは16年の熊本地震のとき。「別府でも大きな揺れに見舞われ、倉庫の棚に置いていたのがたくさん落ちた。でも全て無傷だった」。強さの秘密は、同国ボレスワヴィエツ産の粘着性の高い粘土を二度焼きすることにあるという。

 川島高を卒業後、香川県の旅行会社に就職し、バスガイドを2年間務めた。その後、岐阜県の大手企業の工場で働き、23歳のとき、縁あって別府市に腰を落ち着けた。

 高級クラブに勤めていたころ、お酒を飲み過ぎたりストレスが高じたりしたせいか、29歳でスキルス性胃がんに。胃の大半を切除した。「つらいことも経験したけど、その分優しくなれたかな」

 今は消化器系の病気でやせ細った10歳の秋田犬と暮らしている。「最期をみとってあげたら、徳島にいる母と一緒にポーランド食器の産地を巡ろうと思ってる」と笑った。 

 こうの・ゆきこ 吉野川市生まれ。川島高卒。大川観光(高松市)でバスガイドを務めた後、ソニーの岐阜工場、キヤノンの大分工場などで勤務。2009年から通販サイト「colorpage」を運営し、ポーランド食器を販売している。大分県別府市在住。48歳。