21日で昭和南海地震の発生から70年となり、改めて南海トラフ巨大地震への備えが急がれる中、徳島県内24市町村の公営住宅の耐震化率は47・8%にとどまっていることが、徳島新聞の調査で分かった。全3057棟のうち、耐震化されているのは1460棟だった。1981年5月以前の旧耐震基準で建てられた住宅が多く、耐震改修が進んでいないことが主な要因。具体的な耐震化の数値目標を掲げているのは4市町しかなく、多くの自治体では今後も対策が進まない可能性がある。

 県内では北島町を除く23市町村が公営住宅を建てている。2016年4月1日時点で、全棟数のうち、1981年5月以前に建てられたのは2316棟で75・8%を占める。

 市町村別の耐震化率は、81年5月以前の建物が多いところほど低く、東みよし町は2・3%、石井町が5・0%、板野町が8・8%などとなっている。一方、全棟が81年5月以後に建てられた上勝町と佐那河内村は100%だった。

 耐震化対策に向けた数値目標では、徳島市が「21年度末までに耐震化率95%達成」、阿南市が「20年度末に耐震化率100%」などとしていた。

 耐震改修が進まない主な理由には、財政状況と人口減少がある。老朽化住宅の改築には多額の費用を要する上、将来的には住宅の統廃合が避けられないためだ。

 今後の方針について、12市町が戸数を減らすと回答した。徳島市は「現行の4042戸を今後10年で3900戸程度に減らす」、牟岐町は「老朽化が著しい住宅の募集をやめ、築年数の浅い住宅に集約化していく」などとしている。

 一方、需給バランスでは、市町村でばらつきがあった。12~16年度の5年間で、募集戸数より応募戸数が上回ったのは11市町。募集に対する応募の倍率は、最大が徳島市の5・8倍で、次いで阿南市の5・7倍だった。一方、10市町は応募が募集を下回っていた。

 倍率が高い状態が続いていながら減らす方針を示している徳島市は「四国の他の県庁所在地と比べ、人口当たりの戸数が多いための措置。予算の都合上、全員を満足させる住宅建設は困難」としている。