徳島市明神町1の橋本浩司さん(56)=ラーメン店店長=が所有する陶器が、20日放送されたテレビ番組で世界4点目の「曜変天目茶碗」と鑑定されたことに、橋本さんは「まさかこんなに価値があるとは信じられない」と語った。県内の歴史研究家も驚きの声を上げた。
父親から茶碗を譲り受けた二十数年前は骨董品に興味がなく、自宅の納屋にしまっていた。4、5年前に母親(91)に納屋の整理を頼まれ、ほこりをかぶった茶碗を見つけた。
百回ほど洗うと、深みのある青や緑が浮かび上がった。陶器や骨董品の本を買って調べたところ「もしかしたら曜変天目では」と思い、11月3日に鑑定団に依頼した。26日の番組収録では鑑定額が2500万円と表示され「夢かと思った」と振り返った。
徳島県警の警備部門で長年務めたが約10年前に転職し、ラーメンづくりに励む橋本さん。「当面は茶碗を東京都内の親戚宅に預け、今後の扱いを考えたい」と話している。
県埋蔵文化財センターの福家清司理事長は「本物ならば、完全な形で見つかったのは奇跡だ。希少価値も非常に高い」と驚く。
三好一族に詳しい四国大の須藤茂樹准教授(日本中近世史)は、茶碗が長慶の子孫が所有していたとされることについて「長慶が積極的に茶を好んだという資料はない」と指摘しながらも、「今回の発見は興味深い内容だ。今後精査する必要があるだろう」と話している。