徳島県立農林水産総合技術支援センターがイチゴの新品種「阿波ほうべに」を開発した。広く普及しているさちのかに比べて収穫期が10~20日早く、品薄期に出荷できるため高値販売が期待できる。冬場に旬を迎える促成イチゴで県が開発に成功したオリジナル品種は14年ぶりで、2018年のシーズンから市販される見込み。飯泉嘉門知事が20日の定例会見で発表した。
阿波ほうべには収穫期がさちのかより早い11月下旬~12月上旬に始まり、イチゴの単価の高いクリスマス需要にも対応しやすい。実もさちのかより硬く、輸送による傷みが少なくて済むのが利点だ。
実の色は果皮が鮮やかな赤で果肉は白い。15年度の果重調査で20グラム以上の2L、3Lの実の割合がさちのかの49%に対し、71%を占め、大きいサイズの実が多かった。味の乗る年末から2月にかけては、さちのかと同程度の甘さになるという。
生産者や市場から、収穫期の遅いさちのかの弱点を補う新品種の開発が求められていたことを受け、県立農林水産総合技術支援センターが08年度に開発に着手。さちのかと、かおり野という品種を掛け合わせて有望な株を見いだした。栽培にめどが立ったため、16年12月に農林水産省に品種登録を出願した。
県は17年度に県内のJAや種苗会社と苗の栽培や販売、譲渡の許諾契約を結ぶ計画。一般の生産者は18年度から、本格的な栽培を始めることができる見通しだ。
県が手掛けたイチゴのオリジナル品種は、業務用の夏秋イチゴを含めて八つ目。このうち促成イチゴでは現在、流通しているものはない。飯泉知事は「阿波ほうべにが促成イチゴ栽培の中心品種となるように普及に努めたい」と述べた。