トランプ米政権による保護主義的な動きに、連携して歯止めをかけたい。

 米国を除く11カ国が参加する環太平洋連携協定(TPP)が、12月30日に発効することになった。発効条件である6カ国の国内手続きが10月末に終了したからだ。

 当初、発効は年明けになる見通しだったが、各国が手続きを急いだことで、想定より早くなった。米国が仕掛ける通商政策への危機感の表れといえよう。

 日本を含む11カ国の域内人口は約5億人、国内総生産(GDP)は合計で世界全体の13%を占める。相互に高関税を掛け合う「貿易戦争」に収束の兆しが見えない中、多国間による新たな自由経済圏が誕生する意義は大きい。

 批准国は残る5カ国に早期締結を働き掛けるとともに、TPPの効果を最大限に発揮させ、アジア太平洋地域の経済発展につなげてほしい。

 TPPは、加盟国間の輸出入やサービスを活発にするのが狙いだ。工業製品や農産品の関税撤廃・引き下げに加え、投資や電子商取引などのルールも定めた。

 日本にとっては、自動車など工業製品の輸出が追い風となるほか、税関手続きなどが簡素化されることで参加国でのビジネスがしやすくなる。

 一方で、オーストラリアやニュージーランドといった農業大国が参加することから、牛肉や豚肉などを中心とした安い農畜産品が流入し、競争が激しくなる。

 国内農家には試練となるだけに、魅力ある農産品の提供へ、さらに知恵を絞らなければならない。政府も経営支援や輸出促進策などを講じ、不安解消に努める責務がある。

 日本にとって気掛かりなのは、米国の出方だ。

 TPP参加国の農産品関税が下がれば、米国の輸出の主力である牛肉や小麦の競争力が低下し、不利になる。

 このため、年明け以降に本格化する日米間の貿易交渉では、米国が日本に対し、TPP水準以上の関税引き下げを含めた市場開放を強く求めてくるとみられる。

 厳しい折衝が予想されるがTPPを主導してきた日本が米国の圧力に屈すれば、参加国の信頼を損ね、加盟国の拡大もおぼつかなくなる。TPPの水準を上回る譲歩はすべきではない。

 TPPはこれまで米国を中心に進められてきた。トランプ大統領が離脱を決めたが、影響力の大きさを考えれば米国の復帰は欠かせない。

 ハイレベルな多国間枠組みに賛同する国を増やし、その恩恵を米国民にアピールすることが必要だろう。

 その意味では、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の発効や、中国など16カ国の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉も急がれる。

 日本政府には、自由で公正なルールに基づく貿易体制の強化・拡大へ、さらなる指導力を期待したい。