2017年度に徳島県内で捕獲された野生鳥獣(サル、シカ、イノシシ)は2万1628匹で、4年連続で2万匹を超えたことが県のまとめで分かった。農作物被害額は1億1148万円とほぼ横ばいで、9年連続で1億円を超えた。狩猟者の高齢化も深刻で、県は担い手の育成を急いでいる。

 県によると、17年度の捕獲数はニホンジカ1万2752匹(前年比1261匹減)、イノシシ7488匹(1109匹増)、サル1388匹(54匹減)だった。総捕獲数は15年度の2万3068匹が最多で、16年度は2万1834匹だった。

 県内の農作物被害額は09年度に1億235万円を記録して以降、一度も1億円を下回っていない。県農山漁村振興課によると、ここ5年間は1億1千万~1億2千万円台で推移している。

 野生鳥獣が大量捕獲されているにもかかわらず、被害額が減らない背景には中山間地の過疎高齢化、耕作放棄地の増加がある。管理者のいない果樹園は格好の餌場。人がおらず、追い払われないことが分かれば、恐れることなく集落に進入してくるという。

 県農山漁村振興課は放置された果樹の除去や、農地、果樹林への防護柵設置を呼び掛ける。また県消費者くらし政策課は、狩猟期間の延長や直径12センチ超のくくりわなの解禁といった規制緩和を進め、狩猟を促している。

 ただ狩猟者登録数は年間2300人前後と横ばいが続き、60歳以上が75%を占める。17年度に狩猟者登録を届け出た20代以下の人数は26人で、全体(2280人)の1・1%にすぎない。ベテラン世代が引退すれば、貴重な狩猟技術も失われる恐れがある。

 同課は高校や大学での出前授業、ハンティングスクールを開くなど若いハンターの確保に努めており、「若い狩猟者を増やすのは簡単でないが、地道に続けていきたい」としている。