2012~15年度に阿南市の岩浅嘉仁市長と亀尾貞男副市長が徳島県外に出張した際、航空運賃計約544万円分の領収書が旅費精算書に添付されていなかったことが22日、市の内部資料で分かった。航空運賃は割引制度が多く、12年に改正された市職員旅費条例で「(航空運賃は)現に支払った旅客運賃による」と規定されたにもかかわらず、実際の支払額を確認できない状態で支出していた。当時は領収書の添付は義務づけられていなかったため、市は「条例違反ではない」としているが、専門家は過払いなどの可能性が払拭できない状況だと問題視している。
元市議の福島民雄氏の情報公開請求に対して市が公開した出張内申書などによると、12~15年度の飛行機を利用した出張の回数は、市長が32回、副市長が59回だった。行き先は東京都や北海道、沖縄県など22都道県で、用務は国や国会議員への要望活動、発電所や病院などの視察、表彰式への出席などだった。
航空運賃として、徳島-羽田間は往復で1回当たり5万3140円~7万1780円が支給されていた。市秘書広報課によると、旅行会社から請求書や領収書の交付を受けておらず、航空会社のホームページに掲載されている普通運賃や往復割引運賃を精算書に記入して精算していたという。同課は「実際にいくら払ったか確認できない」としている。
市は16年度から領収書を添付するよう運用を改めた。理由について同課は「他市の旅費運用を調査した結果、添付が必要だと判断した」と説明している。
この問題で、福島氏は22日、「領収書の添付がなければ現に支払った額を証明できないため条例違反だ」として、住民監査請求書を市監査事務局に提出した。請求について、岩浅嘉仁市長は「受理されていないため内容を把握しておらずコメントできない」と話した。