鳴門市は26日、市民が納付した国民健康保険料など509万6210円を着服したとして、収納業務を担当していた保険課の水田幸雄係長(41)を同日付で懲戒免職処分にしたと発表した。水田係長は着服を認めており「借金の返済や遊興費に充てた」などと話しているという。全額を市に返金しており、市は刑事告訴を見送る方針。

 市によると、水田係長は今年9月2日~12月1日、市役所の窓口で受け取った106人分(247件)の保険料を着服した。内訳は、国保料が359万5800円(68人分、149件)、介護保険料22万6910円(17人分、38件)、後期高齢者医療保険料127万3500円(22人分、60件)。

 今月19日、市内の男性が国保料を納めようと保険課を訪れた際に、男性が以前に納めた国保料が未納処理になっていると同課の職員が説明した。男性は領収書を保管しておりこれを市に提示。市が調査を行ったところ、係長の着服が分かった。

 同課では保険料の納付日に、納付金と納付書を手提げ金庫に入れて課内の金庫室でいったん保管し、翌日に水田係長が庁内の金融機関に振り込んでいた。

 同課に職員は22人いるが振り込みは係長が1人で担当していた。係長は職員が退庁を始める午後5時15分以降を見計らって、金庫室に入るなどして着服した。

 発覚を免れるため、係長は自席のパソコンから市の収納システムを操作していた。システムは、保険料の未納者への督促状が自動的に発行される仕組みで、係長が納付金を着服したため未納処理となった79人に督促状を発行しないようにしていた。

 係長は着服が発覚する前に自ら納付書を再発行して8人分の国保料計56万3100円を市に返金。残りの着服金は発覚後に返金した。

 係長は2002年7月に市職員となり、商工観光課(当時)や税務課を経て14年4月から保険課係長として勤務していた。

 泉理彦市長は記者会見で「市民の皆様におわび申し上げる」と謝罪。管理監督責任を取って荒川雅範健康福祉部長を戒告処分、田浦豊保険課長と濱口健副課長を10%の減給処分(2カ月間)とした。