国際協調を無視し、国内では社会の分断や憎悪をあおる。超大国のリーダーとは思えないトランプ米大統領の政治手法に、厳しい審判が下された。

 米中間選挙で、与党共和党が上院の多数派を維持した一方、下院では野党民主党が8年ぶりに過半数を奪還した。

 ロシア疑惑や脱税、女性スキャンダルなど、トランプ氏はさまざまな嫌疑を掛けられている。民主党が弾劾手続きの開始を視野に、追及の手を強めるのは必至だ。

 これに対抗して、トランプ氏が外交や通商で独善的なやり方をさらに推し進めれば、世界の先行きが一層不透明になりかねない。

 必要なのは、これまでの強硬姿勢を改めることである。残る任期の2年余り、異なる意見にも耳を傾け、謙虚な態度で政権運営に臨むよう求めたい。

 中間選挙は、上院が定数100のうち35議席、下院は全435議席で争われた。

 共和党は上院で多数を保ったとはいえ、非改選だけで42議席あり、今回、8議席以上を取ればいい状況だった。

 その点、トランプ氏に対する国民の評価がより反映されたのは、全議席が改選された下院選だったと言えよう。

 選挙戦で、共和党は経済の好調さをアピールし、貿易不均衡の是正や不法移民対策、減税などの実績を強調した。

 しかし、トランプ氏が中国や欧州に仕掛けた「貿易戦争」は報復関税を招き、打撃を受けた国内企業や農家は少なくない。2年前の大統領選でトランプ氏が圧勝した「ラストベルト(さびた工業地帯)」でも、激戦となった。

 移民問題に対する国民の考え方は、大きく割れている。だからこそ、指導者には理性的な議論を強く呼び掛ける責任があるはずだ。

 にもかかわらず、トランプ氏は融和を図るどころか、移民を敵視し、差別意識を助長させてきた。女性蔑視発言を繰り返し、性的少数者(LGBT)を排除する措置も打ち出している。

 州知事選を含め、選挙戦で女性候補が過去最多に上り、社会的弱者や少数者の人権が大きな争点になったのは、そうしたトランプ氏への反発があったからだろう。

 見直すべきなのは、内政だけではない。

 地球温暖化対策のパリ協定やイラン核合意、ロシアとの中距離核戦力(INF)廃棄条約など、トランプ氏は国際的な取り決めからの離脱を次々と表明してきた。

 環太平洋連携協定(TPP)から離脱するなど、通商政策でも自国中心的な主張を押し通している。

 いずれも、世界の平和と安定を損なう行為であり、米国の威信と信用も傷つけた。

 トランプ氏はいつまで排他的な政策を続け、不寛容な空気を国内外にまき散らすつもりなのか。「米国第一主義」からの脱却こそが、強く求められる。