第63回徳島駅伝(徳島陸協、徳島県、徳島新聞社主催)には、2020年開催の東京パラリンピック出場を目指す2人のランナーがエントリーしている。視覚障害がある三好市チームの髙井俊治さん(30)=同市池田町シマ、会社員=と、知的障害がある吉野川市チームの阿利美咲さん(22)=同市鴨島町喜来、カリヨンれもん=だ。徳島駅伝に出場を重ねて走力を磨いてきた2人は、17年を東京パラ挑戦のスタートの年と位置付け、力走を誓っている。
髙井さんは池田中学校2年の時に野球ボールが左目を直撃し、視力が徐々に低下した。現在の視力は0・03で矯正しても0・1。足元の段差が見えづらいなどのハンディがありながら、美馬商業高校(現つるぎ高校)で駅伝部に入り、社会人になってからは市民ランナーとしてマラソンに取り組んできた。
東京パラ出場を目指して4月、日本盲人マラソン協会に登録。協会の強化指定選手となった。12月18日に山口県で行われたマラソン大会では、リオデジャネイロパラの3位タイムに匹敵する2時間34分1秒を記録した。
幼い頃から走るのが好きだった髙井さんは「徳島駅伝がきっかけで長距離走の楽しさを知った。駅伝のために練習を続けてきたからこそ、パラ出場の夢を持つこともできた」と話す。16回目の今回は6年ぶりの主将を任され、「チームの力になりたい」と意気込む。
自閉症の阿利さんは5歳の頃、症状を抑えるために医師の勧めでランニングを始めた。小学校に入ったばかりの運動会ではコースの枠に沿って進むことができなかったが、同級生らと一緒に走るうちに次第とランニングが好きになった。
言語障害がある阿利さんにとって、徳島駅伝は走ることで気持ちを伝えられる特別な大会。鴨島第一中学校2年で初出場し、池田支援学校美馬分校1年だった第57回大会では敢闘賞に輝いた。たすきを通じた仲間との交流は、陸上競技を続ける励みとなっている。
タイで来年5月に開かれる国際知的障害者スポーツ連盟の陸上競技世界選手権に、女子1500メートルと5000メートルの2種目で出場する。徳島駅伝で好調の流れをつくろうと入念にコンディションを調整しており、「頑張ります」と気を引き締めている。