4月に佐那河内村に移住した後藤さん一家。後藤さんは「自然が豊かで人も温かい」と言う=同村下

 2016年の佐那河内村への転入者が転出者を7人上回り、社会増となったことが30日までの村のまとめで分かった。09年以来7年ぶり。村は13年度、空き家を活用した移住支援を本格化させ、住民と連携して受け入れ態勢を強化してきた。企業活動が活発とはいえない中で、これらの取り組みが功を奏したといえそうだ。

 村によると、16年の転入は62人、転出は55人。前年に比べ、転入が16人増え、転出は26人減った。平成以降で社会増となったのは、1997年(21人)と2009年(5人)に続いて3度目。

 県の人口推計によると、16年11月末時点で県内で社会増となっているのは徳島市と北島、藍住、板野の3町のみで、この時点で佐那河内村は社会増減ゼロだった。

 県内の大半の農山漁村では自然動態、社会動態のいずれも減少が続いている。15年までの10年間で佐那河内村以外に社会増となったのは、サテライトオフィス誘致に力を入れる神山町(11年)と美波町(14年)、ごみ減量や葉っぱビジネスで全国に知られる上勝町(11、12年)だけ。

 村は13年度に移住支援体制を強化。15年度には空き家の改修費用を最大300万円助成する制度を設けるとともに、移住交流支援センターに移住コーディネーターを配置するなどしてきた。移住をサポートする住民団体も二つ発足するなど、官民が連携して受け入れ態勢を整えている。センターは16年の転入者のうち27人(10世帯)の移住を支援した。

 センターによると、支援した移住世帯は県内組が7世帯、県外組が3世帯。県内組は徳島市や北島町などからの移住で、子育て世帯を中心に40代以下が約8割を占める。「豊かな自然の中で子育てを」と望む夫婦が多く、徳島市中心部から車で30分ほどのアクセスの良さも移住を後押ししている。

 4月に徳島市から移住した後藤志郎さん(43)=同村下、不動産業=は、移住をサポートする側だったが、活動する中で村に魅力を感じるようになった。築30年の空き家を改修し、妻、息子2人と暮らす。「ここなら子どもが伸び伸びと育つのではないかと思った。人が温かく、移住に向けた支援も細やかだった」と充実感を漂わせる。

 村の自然動態は年40人程度の減少が続いており、人口は右肩下がり。16年11月末の人口は2457人で、06年1月時点に比べて18・3%減っている。村は人口減を食い止めるため、今後も移住支援に力を入れる方針で、村営住宅の建設も検討している。

 岩城福治村長は「移住定住支援の取り組みに手応えを感じている。社会増を続けられるよう、さらに力を入れたい」と話している。