高松市で弁護士を始めて10年目を迎えた。取り扱う案件の大半は交通事故や会社法務、破産管財など民事案件。法律顧問を務める企業は香川、徳島の15社に上る。1日に5、6件の裁判をこなすことも少なくない。「目が回るほど忙しいけど、裁判になるようなトラブルは依頼人にとって一生に一度あるかないかの出来事。一つ一つの案件に全力を尽くしている」

 香川大を卒業し東京の総合商社に就職。輸出入の船舶の手配を任されて充実した毎日を送っていたが、同級生が難関の公認会計士に挑戦しているのに刺激を受け「文系の最高峰である司法試験に挑戦したい」と退社した。

 東京の弁護士事務所で仕事をしながら勉強したが、合格率2%と言われた狭き門の突破は難しく、2002年、03年と続けて不合格となった。諦めかけた時に親類から「川田川の河原でダイヤモンドを探すようなもんや」と反対されたことが頭をよぎり、負けじ魂に火が付いた。効率的な勉強に徹し、04年11月に合格を果たした。「膨大な仕事を能率良くこなしてきた商社マンとしての経験が生きた」

 東京で司法修習を終え、東京での弁護士活動を考えていたが、「大学生活を送ったのでなじみがあり、実家にも近い」と06年に四国に帰り、高裁のある高松市に弁護士活動の拠点を置いた。09年に独立し、現在は弁護士2人を含む5人のスタッフを率いて奔走している。社会正義の実現と被害者救済をモットーに、将来は交通事故に特化した弁護士事務所を目指している。

 事務所近くで妻、長男、長女と4人暮らし。高校の同級生と連絡を取り合い、月に2回は吉野川市山川町の実家に帰る。「高越山の眺めは古里の誇り。ふいご温泉で川田川のせせらぎを聞くと落ち着くんよ」。

 まつむら・そういちろう 吉野川市山川町出身。川田小、山川中、脇町高、香川大法学部卒。総合商社ニチメン(現双日)勤務の後、2004年に司法試験に合格。06年に弁護士登録し、09年2月に高松市で松村法律事務所を開業し、14年8月に事務所を法人化した。11年度に香川県弁護士会副会長を務め、12年度から広報委員長。高松市錦町在住。41歳。