インドネシア・バリ島の男性が正装で着用する「ウダン」を頭に巻き、大きな広告を張った白衣を身にまとう。ひときわ目立つ、その装いがユニホームだ。「バリ島につながりがあり、理科系なのでこの衣装。人の記憶に残りやすいでしょう?」と笑う。

 バリ島を舞台にした代表作「出稼げば大富豪」は、昨年1月に「神様はバリにいる」として映画化された。

 親の勧めで学者を志し、大学院在学中に大学発ベンチャーを興すも失敗。失意の中、訪れたバリ島で「兄貴」と慕われる実業家・丸尾孝俊さんに出会い、新たな境地を切り開く。赤裸々に語った自著通りの人生を歩んできた。

 感謝の気持ちを持て、祖先を敬え、人と人との縁を大切にしろ…。丸尾さんの言葉は「自分さえ良ければいい」と考えてきた自己中心的な生き方を全否定するものだった。「自分自身が近代日本の問題点を象徴していたと思う。『自己中』では人生をだめにするとようやく気付けた」

 そんな気付きを書籍に著し続け、「体験を語ってほしい」と講演に招かれることも増えた。「進路学習で高校に呼ばれたり、高齢者福祉の関係者に人間関係の重要性を語ったりと幅広い方に興味を持ってもらっています」と話す。海外との交流も広く、中国・吉林省の観光大使にも就いた。

 母は石井町出身で、里帰り出産により徳島で生まれた。大阪と京都で育ち、現在この2カ所が拠点。三好市出身の妻と出会ったことで住所は同市内に置く。国内外で活動しているだけに、「古里」や家族と過ごす時間もままならないという。

 「吉野川の流れや文化的なたたずまいが残っている集落をはじめ、徳島の情景は素晴らしい。外国人旅行者への対応などで、徳島に貢献できたら」と話した。

 クロイワ・ショウ 本名・黒岩将。近畿大生物理工学部を経て奈良先端科学技術大学院大博士課程修了。著書は「出稼げば大富豪」(2008年、KKロングセラーズ)など9冊。バリ島へのツアー企画なども手掛ける。36歳。