徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 MRSAとはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌のことです。黄色ブドウ球菌は様々な化膿性疾患の代表的な原因菌です。しかしこの細菌は健常な人の皮膚や鼻咽腔にも存在していますから、そこに存在するだけでは病原性を発揮することはありません。

 外傷や手術の傷口、アトピー性皮膚炎などがあると皮膚のバリア機能が破綻して、また血管内に点滴針やカテーテルが留置されていると、その刺入部位や留置場所から黄色ブドウ球菌が侵入して皮膚や内臓に感染することがあります。体力や抵抗力が低下すると感染して発病する可能性が高くなります。

 ブドウ球菌は皮膚に感染すると皮膚の発赤、腫脹、疼痛、熱感、びらん、水泡、皮下膿瘍などが見られます。子どもの皮膚感染症である『とびひ』の原因は多くが黄色ブドウ球菌で、その多くがMRSAであると言われます。
 
 メチシリンは耐性黄色ブドウ球菌に有効な抗菌薬です。そのメチシリンに耐性を示すブドウ球菌がMRSAです。多くの医療機関や医療従事者からMRSAが検出されて大きな問題になっています。
ブドウ球菌は接触で感染します。患者さんから排出されるブドウ球菌が直接・間接に別の患者さんに感染しますが、医療従事者や医療器具を介して伝搬することが問題です。

 健常者の皮膚や鼻咽腔にもMRSAは存在します。そこに存在するだけでは感染ではありません。MRSAが検出されても感染でなければ抗菌薬治療の対象にはなりません。MRSAを体力や抵抗力の弱った病人や子どもに感染させないように、マスク、手袋、手指消毒、手洗いなどの感染予防法を行うことが大切です。