1次キャンプが終わった1月末に長島裕明監督から主将就任を打診された。「やれるかどうか悩むより、やってみて失敗したら失敗したでいい」。J1再昇格を目指す28戦士のまとめ役となることが、サッカー選手としても一人の人間としても成長できるチャンスと前向きに捉えた。

 徳島在籍7年目の33歳。天才肌のボランチとして円熟味を増す。縦横のスペースに繰り出す絶妙のパスや相手の当たりを恐れない献身的な守備が持ち味だ。持って生まれた体の強さもあってけがが少なく、昨季はチーム最多出場を果たした。

 セレッソ大阪の下部組織で育ち、2001年にトップチームに昇格。サガン鳥栖を経て07年から再びセレッソ大阪でプレーした後、10年に徳島に移籍した。11年までチームメートだった柿谷曜一朗選手(セレッソ大阪)に生活面でアドバイスするなど後輩の面倒見が良く、プレー面も含めて選手全員から一目を置かれる。

 主将を務めるのは5歳から始まったサッカー人生で初めて。「勝っているときは何もしなくていい。勝てないときにチームをどうまとめるかが主将の役割」と語る。声を張り上げて盛り上げるというより、あくまでプレーする背中で引っ張っていくという自分のスタイルを貫く覚悟だ。

 メディアやサポーターへの対応など選手代表として人前に立つ機会は増える。「苦手やけど、今まで自由にサッカーをやらせてもらってきた分、しっかりせんと」。少し笑った後、表情を引き締めた。大阪市出身。藍住町内で妻と暮らす。