徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
蕁麻疹の原因にはアレルギー性のものと非アレルギー性のものがあります。いずれの原因でも肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が遊離することによって血管の透過性が亢進して血管周囲の浮腫を起こす機序は同じです。
アレルギー性の蕁麻疹は特定の食物に対するIgE抗体を介して起こる即時型アレルギー反応が原因で、このタイプの蕁麻疹は全体の5~10%程度であると言われます。アレルギーを介さない蕁麻疹の中にも特定の刺激で誘発される蕁麻疹があります。これは特定の食物に対するIgE抗体が検出されないものです。この蕁麻疹は食物の中に含まれるアセチルコリンやヒスタミン様物質によって誘発されます。
さらに特定刺激の中には食物以外の物理的刺激による蕁麻疹もあります。物理的刺激には機械的擦過で起こる機械性蕁麻疹、冷水・冷風などで皮膚が冷えることで起こる寒冷蕁麻疹、日光に当たると発生する日光蕁麻疹などもあります。また入浴や運動、精神的緊張などの発汗刺激で起こるコリン性蕁麻疹や皮膚や粘膜が特定の物質と接触することで発生する接触蕁麻疹などがあります。
蕁麻疹は身体の状態によって出現することや持続性が変わることがあります。感染や疲労・ストレスなどがある場合に蕁麻疹が出現しやすくなり、蕁麻疹が持続して慢性化することがあります。
蕁麻疹の治療の原則は原因を除去することです。薬剤としては抗ヒスタミン剤の内服と外用剤を使用します。完全に蕁麻疹が消失して薬剤を中止しても蕁麻疹が再発しなくなるまで内服治療を続けます。