徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 事故の中には予測不能で予防できないものと、事故が起こることを予測して対策を立てて注意すれば予防できるものがあります。

 子どもの事故には月齢や年齢によって起こりやすい事故の傾向がありますから、月齢や年齢を見て発達の程度を知ることで、発生する事故を予測し、予防することが出来ます。

 子どもの事故の多くは子どもの発達に伴って発生しますから、発達レベルによって起こりやすい事故を保護者に知らせることで多くの事故を予防することが出来ます。

 乳児期には自由に移動することが出来ません。従ってその安全はほとんどが周囲の環境と保護者に依存しています。乳児が転落や窒息、車両事故に巻き込まれないためには、どのような環境や行為が危険であるのかを保護者が学ぶ必要があります。乳児が入れないように鍵をかける、柵を作る、落ちても怪我をしないようにマットを敷く等で予防します。

 幼児期には子どもが何でも独りでやりたがり活動範囲も広がります。この時期には多くの保護者が子どもの運動能力を過小評価し、認識力を過大評価する傾向があります。「この柵には登れないだろう」とか「道路は車が来て危ないことが分かっているだろう」という思い込みが事故につながります。

 3歳までの事故は半数以上が家庭内で起こります。3歳以降は家庭外での事故が多くなります。特に学童期や思春期の子どもは保護者の手の届かない所で活動することが多くなります。子どもの事故予防には安全な社会環境を整えることにすべての人が関わる意識を高めることが大切です。