建設・土木分野の技術職員として4年間、阿南市の農地整備課で勤務した後、東京都職員になり、荒川の堤防緑化や隅田川の遊歩道整備などを手掛けてきた。昨年夏に長女を出産、現在は育児休暇を取得して子育てに奮闘中だ。

 研究や実験で試行錯誤しながら技術革新を遂げる「ものづくり」に興味を持ち、技術者の道を選んだ。「(建設・土木は)古くさい業種だと思われがちですが、設計方法や現場の工法は日進月歩で進化していて、実はいつも最先端なんです」と説明する。

 「事業を発注する際、常に最新の知見や技術を取り入れていく必要があるため、勉強は大変ですね。でも、時代のニーズに合ったものづくりに携われることから、やりがいがあります」

 阿南市時代、条例や規則づくりに携わる機会を得た。その際、参照していたのが東京都の手法だったという。「全国の自治体の手本になっているところで仕事をしてみたいと思い、目指しました」

 「規模の大小はあっても基本は行政の仕事なので、阿南市で得た知識は大いに役立っています。中でも、現場を把握して的確に設計することや細かな指示が必要な監督業務では、阿南市での経験が自信になっています」

 今年秋にも職場に復帰する予定だ。しかし、長女を保育所に入れられなければ「(育児休暇を)延長しないと」と表情を曇らせる。「待機児童の解消で肝心なのは、0~1歳児保育をどこまで増やせるかだと思います。政府は、働く女性のニーズを正確にくみ取り、優秀な保育士の確保を急いでほしい」

 徳島の活性化策でも技術者らしく「医療や科学技術分野への重点投資で、大塚グループや日亜化学工業に続く成長企業を育て、若者の雇用を増やしてもらえれば」。

 やまもと・よしこ 阿南市出身。旧姓廣間。阿南工業高等専門学校建設システム工学科、広島大工学部第4類建設工学課程卒。阿南市役所での勤務を経て、2009年から東京都職員。現在は都建設局第5建設事務所工事課に在籍。東京都板橋区在住。34歳。