政府が3月22日に決定した政府関係機関の移転方針で、徳島県が誘致を提案している消費者庁、消費者委員会、国民生活センターは「移転に向けて8月末までに結論を得ることを目指す」と記載された。

 地方が移転を要望した7省庁のうち、具体的な方向性が示されたのは消費者庁と京都府が求める文化庁、消費者庁と同じく「8月末までに結論」とされた和歌山県の統計局だけ。全面移転が明記された文化庁に対し、消費者庁は含みを持たせる文面にとどまったとはいえ、移転の可能性は高まった。

 内閣官房の関係者は「当初、首相周辺は文化庁の移転だけで収めようとしていた節がある」と打ち明ける。京都という土地柄に加え、消費者庁のように多くの団体が関係しておらず比較的スムーズに移転できると踏んだためだ。同庁と統計局が加わった理由については「政治力だろう」とみる。

 消費者庁移転の可否を結論付ける最大のヤマ場は7月に県庁で行う試験業務。その結果を踏まえ、2017年度予算の概算要求に関連予算が盛り込まれるかがポイントで、要求に載れば事実上のゴーサインとなる。

 前消費者行政担当相の山口俊一衆院議員は、移転方針を「ゼロ回答でないことが明確になった」と分析し、消費者庁に対して「地方創生のために徳島で何ができるかを考えるべきだ」と注文を付ける。その上で、県に対しても<1>県民の機運醸成<2>「徳島移転が地方創生につながる」とはっきり打ち出す<3>移転に反対している人たちを積極的に説得する姿勢を示す-を強く求めている。

 政府の移転方針を受け、永田町では消費者庁の業務を東京と徳島でどう切り分けるのか、落としどころを探る動きが出ているという。庁職員や関連団体の反対は依然根強く、「全面移転は困難。国会対応や省庁間調整部門などは霞が関にとどまるのではないか」と予想する声もある。

 県はこれまで全面移転の実現を前面に掲げてきた。これに対し、より多くの行政部門、職員の移転を求める現実路線へ転換を図るべきだとの声も出ている。

 飯泉嘉門知事は3月18日の県地方創生本部会議で「(消費者庁と)綱引きをするのではなく、ともに力を合わせて消費者行政を展開する」と力を込めた。移転に関する費用負担や庁職員のサポート体制も含め、県として何ができるのか具体策を示す時期に入っている。