子どもの外科的疾患全般を扱う小児外科。この仕事に就き、30年余りのキャリアを積み重ねてきた。「病気になった子どもが、ほかの子らと変わらない生活を送れるようになってもらいたい。その一念ですね」と語る。

 医師になりたい-。城南高在学時、人の役に立てる仕事を探す中で真っ先に思い浮かんだ。大阪大医学部で学び、小児外科教授の岡田正(あきら)氏=故人、元大阪大病院長=に出会って進路を固めた。

 小児外科はどこの病院にもあるものではない。胸部、腹部、泌尿器など幅広い部位の疾患を扱い、生まれたばかりの赤ん坊や数十万人に1人という症例の少ない病気の患者とも向き合う。「アグレッシブな岡田先生に導かれて選んだ道だったが、子どもの人生に関わる素晴らしい仕事だと思う」と振り返る。

 中でも専門とするのが鎖肛(さこう)という疾患だ。肛門が生まれつきうまく作られなかった病気で、新生児であっても肛門を新たに作る手術が必要となる。数々の患者を診てきた上で「小児外科医は手術すれば終わりではない。鎖肛でいえば、排便が上手にできるようになるまでずっと付き合う」と話す。

 腹腔鏡(ふくくうきょう)による手術を積極的に取り入れている。開腹手術に比べ傷が目立ちにくく、痛みも少ないなどのメリットがあるためだ。「機器や技術の進化は目覚ましく、おへそを切るだけで済むケースもある。傷が目立たなかったら、子どもが将来にわたって不安を抱くことが少なくなるはずです」

 徳島に定期的に戻り、自宅で暮らす母とともに過ごす。帰省時には高校時代の同級生と集まることも多いという。「安くてうまい徳島の魚を食べながら、同級生とわいわいしゃべる。これが一番の楽しみですね」。

 やぎ・まこと 徳島市出身。城南高、大阪大医学部卒。大阪府立母子保健総合医療センター小児外科医長を経て、2000年に近畿大医学部へ移り、09年から現職。日本小児外科学会評議員、日本内視鏡外科学会技術認定医(小児外科領域)などを務める。大阪府吹田市在住、63歳。