古里を離れ、近畿圏などで暮らす美馬市出身者が集う近畿・美馬市ふるさと会は、発足から10年が過ぎた。設立当初から運営に携わり、2014年11月、会長に就いた。「課題は多いが、古里の力も借りながら素晴らしい会にしていきたい」
会員数は近畿在住者を中心に253人。高齢化や若者不足で、会員減少に直面している。それでも「他のふるさと会にはない活動があり、こまめに顔を合わせることができているのではないだろうか」と話す。
その活動が美馬市と連携した産直市運営だ。13年から毎月第3土曜日に大阪府伊丹市で産直市を開いており、美馬市の住民らが訪れて直接、農産物や加工食品などを販売している。
地元から届く「懐かしい、思い出の味」を心待ちにしている人は少なくない。顔を合わせれば話も弾む。会員や同郷の人たちが交流する機会にもなっている。「近畿に住む人だけで集まっていては会の現状維持すら難しい。活性化には古里との交流促進が欠かせない」
旧木屋平村(現美馬市木屋平)生まれ。「若いころはとにかくやんちゃでね。村外のことに興味があった」
転機となったのは高校2年の夏休み。友人4人に声を掛け、野宿しながら四国を自転車で回った。「海が見たいって単純な動機だったけれど、親に無断で行ったから後でこっぴどく怒られて。それでも人の温かさがうれしかったし、外に出たいとの思いがさらに強まった」
高校を卒業後、転職を経て兵庫県川西市で家電販売や電気工事の自営業を営んでいる。「『へらこい』ことをせず、誠実に生きる大切さを外に出たことで学べたと思う。奉仕の心を持って、ふるさと会の運営に当たりたい」。
まつか・かずよし 川島高卒。医薬品や電化製品の営業を経て1990年に電気店を開業。近畿ふるさと木屋平会会長など歴任。関西在住の川島高卒業生でつくる近畿至誠会副会長も務める。兵庫県川西市在住、67歳。