徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 小児は頭部が大きく重心が高くバランスが悪いために転倒しやすく、また様々なものに興味を示して身を乗り出すので転落しやすいものです。その結果、頭部を打って救急受診することがあります。重症の頭部外傷は生命に関わることがあり、神経系の重篤な後遺症も問題になります。今月は小児の頭部外傷について考えてみました。

 頭部外傷の受傷機転は年齢によって異なり、乳児では家庭内での転倒や転落が多く、年長になるにつれて交通事故が多くなります。さらに学校でのスポーツ外傷も問題になります。

 頭部外傷には擦過傷のように軽症のものから、頭蓋骨骨折や頭蓋内損傷のように重症のものまで様々な程度のものが見られます。多くの重症の頭部外傷は総合病院や専門病院を救急受診しますから我々一般の小児科医が診察する機会はそれ程多い訳ではありません。

 一般の小児科医が診察する機会が多いのは軽症の頭部外傷です。ただし中には隠れた重症の頭部外傷がありますから注意が必要です。

 小児の頭部や顔面の皮膚は薄くて傷つきやすく、血管が多いのでわずかの傷でも出血が多くなることがあります。また脳の水分量が多く、血液脳関門が未発達で血管透過性が高いために脳浮腫が生じやすいと言われます。さらに小児の脳は酸素消費量が多いので出血によって脳血流量が不足すると低酸素脳症に陥りやすいこと、脳の機能が未熟でけいれんが起こりやすいこと、嘔吐中枢の未熟性から嘔吐を来しやすいこと、循環血液量が少ないのでわずかな出血でもショックに陥ることがあり、小児の頭部外傷には注意が必要です。