機械・自動車部品製造大手のジェイテクトが東京・銀座の自社ビル1階に4月開設したショールーム「JTEKT ROOM Ginza(ジェイテクトルーム銀座)」の館長に就任し、ベアリング(軸受け)など、世界市場で高い支持を受ける自社製品をPRする役割を担う。
「一般消費者がわれわれの作っている物を直接見る機会はほとんどない。部品の種類や役割が分かるように車を分解して展示するなどして、わが社の製品・技術情報の発信基地として機能させていきたい」
トヨタ自動車グループの部品メーカーだった光洋精工と豊田工機が合併し、ジェイテクトとなって今年で10年。記念に開設した一般客も入れるショールーム(約200平方メートル)には、世界シェア30%を占める電動パワーステアリングの技術が体感できるシミュレーターのほか、藍住町奥野の徳島工場で作られたベアリングなども展示されている。
「目に見え、手に触れることのできる物を作りたい」と光洋精工(当時)に入社して34年目。今年1月から広報部主査となり、4月からはショールーム館長の肩書が加わった。初の広報業務にも気負いはなく「今後は人工知能といった次世代技術を意識した商品開発も進んでいくが、ベアリング、ステアリング、駆動装置、工作機械という4本柱を軸とした私たちの物作りをしっかりと発信する」と語る。
年に一度、お盆に帰省する。自転車通学をしていた高校時代は吉野川橋の上で向かい風に泣かされたが、古里を離れた今、帰るたびに川の美しさと雄大さを痛感している。徳島の観光振興など活性化について「他のまねをしても駄目。徳島の持つ自然、農産物といった魅力をいかにうまく伝えるか」。自身の新たなミッションと同じ情報発信の大切さをポイントに挙げた。
ふかわ・まさひろ 北島町出身。城東高校、明治大工学部卒。1982年、ジェイテクトの前身・光洋精工に入社。東京都羽村市の工場勤務を皮切りに、銀座の東日本支社販売技術部、中国・上海にある販売拠点勤務などを経て2016年4月から現職。茨城県守谷市在住。56歳。