徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 小児の頭部外傷は生命の危険性を伴い後遺症の発生も心配されます。しかし軽症の頭部外傷における頭蓋内損傷は10%未満で、さらに緊急手術を必要とするのは0・1%未満とされます。頭蓋骨骨折や頭蓋内損傷を診断するためには頭部CT検査が重要ですが、軽症頭部外傷に対して必要以上にCTが撮影されると被曝の危険性があります。頭部CT撮影を行う判断基準が求められます。

 軽症頭部外傷とは意識レベルにほとんど異常がないもので、神経学的にも異常症状がないもの、受傷機転にも高エネルギーでないものと定義されます。

 意識レベルについては自発的な開眼、年齢相応の会話、指示に従って手足を動かすことの3項目についてチェックして判断するものです。自発的な開眼がなく、発声もなし、体動もないものが最も強い意識障害を示します。軽症の意識傷害とはほとんどの項目で異常が見られないものを指します。

 神経学的所見には全身の運動機能、感覚器系、筋緊張、姿勢についてその左右差がないことを確認します。軽微な症状を見逃さないことが大切です。このような神経所見は専門の小児科医がチェックしますが、母親などの家族が「いつもの子どもの泣き方と違う」とか「何かが違う」と感じた時には厳重な経過観察の下に置きます。このような家族の感覚が軽症頭部外傷の中に隠れた重篤な異常を発見するのに役立つことがあります。

 高エネルギー外傷とは高所からの墜落や高速での衝突、交通外傷などです。脳が強い衝撃を受けている可能性がありますから特に注意が必要です。