徳島商業高校の校長に就任したばかりで、県内の高校野球界のかじ取り役になった。「主役の球児が一生懸命プレーできるような環境を整えたい。選手の人間形成を支えていく」。静かだが、しっかりとした口調で抱負を述べる。
プレーヤーとしての経験はないが、国語教師らしく、吉川英治の言葉を引用して野球論を展開する。「晴れた日は晴れを愛し、雨の日は雨を愛す」。勝負事には勝ってうれしいときもあれば、負けて悔しいときもある。「どんなときも野球を楽しんでほしい」という願いを込めている。
そして、悔しいことやつらい経験を乗り越えたとき、生徒は心身とも一回り成長する。「さまざまなことを乗り越えられるように、生徒を励ますのが指導者の役割」と話す。
城北高、広島大を経て、高校の教員になった。城東高の勤務時代、野球部長を経験したことがあり、必ずしも野球と無縁だったわけではない。ソフトボールでは川島、小松島の両校で顧問を務め、1990年には小松島男子を率いて宮城インターハイにも出場した。
野球を通じて球児に求めるのは「感謝」と「誇り」。今後はできるだけ球場に足を運び、選手のひたむきなプレーを見守るつもりだ。練習や試合の積み重ねは、選手にとって大きな財産になると信じている。
趣味は4年前から始めた俳句。今年の夏は「高校野球を題材にした俳句を詠みたい」と考えている。徳島市南島田町4の自宅で妻、長女、両親と5人暮らし。56歳。