恐竜化石の発掘調査の手法や情報発信などについて話し合う委員ら=勝浦町役場

 勝浦町の白亜紀前期(約1億3000万年前)の地層から恐竜化石含有層(ボーンベッド)が見つかったことを受け、徳島県、町、住民団体などは9日、「勝浦町恐竜発掘活性化協議会」を発足させた。恐竜化石の継続的な発掘調査や、恐竜を生かした町おこしへの方策を検討していく。町役場で開いた初会合で、今月下旬から12月中旬にかけて県教委と合同で発掘調査を行い、発掘現場周辺の保全対策や情報発信に取り組むことなどを確認した。

 下旬から実施するのは、本格調査に先立つ「予備調査」の位置付けで、4班編成で延べ約30人が参加する。竜脚類草食恐竜の歯など化石45点が見つかったボーンベッドを集中的に掘り、採取した岩石を県立農林水産総合技術支援センター勝浦試験地(同町)へ移して、化石の有無を確認する。有望な化石は県立博物館で詳しく調べる。新たなボーンベッドがないか、周辺も探索する。

 協議会は大学教授、町や県の担当者、地元住民ら13人が出席し、福井県立恐竜博物館の東洋一特別館長もオブザーバーで加わった。委員長に小笠原憲四郎・筑波大名誉教授(地質学・古生物学)を選んだ。

 “盗掘”などを防ぐ保全対策としては、警備員を配置するほか、住民対象の地区説明会を開くなどして合意形成を進めることを確認。新たな発見が確認され次第、学術発表をするなど、情報発信していくことを決めた。古生物専攻の学芸員など、県に人材育成を求める意見もあった。次回会合は来年3月に開く。

 小笠原委員長は「勝浦町で見つかった恐竜の化石や地層は国際的な財産だ。関係団体が協力し、勝浦から化石が出てきた意義を普及啓発していきたい」と話した。