稲荷通りのレトロな町並みを利用して行われたイベント。数十年ぶりに大勢の人が行き交った=吉野川市鴨島町鴨島

 細い路地を照らすLEDの明かりに導かれて歩みを進めると、まるで映画のセットを思わせるような町並みが現れた。

 歴史を感じさせる建物が両側に並び、頭上にはトタンのアーケードが覆う。店の看板はいかにも古めかしく、昭和時代にタイムスリップしたのではないかと思わせる。

 

 場所は吉野川市鴨島町の鴨島駅前にある稲荷通り。閑散とする駅前を盛り上げようと、10月下旬にイベント「わざわざ鴨島駅前に行こう!」が開かれ、訪れた。

 かつて製糸業で栄え、県央部の交通の要衝だった鴨島町。駅周辺の商店街は、歩けば肩が触れ合うほどにぎわった。飲食店街の稲荷通りも多くの酔客であふれた。しかし今では、人けすら感じないほどになっている。

 イベントを主催したローカルプロジェクト会議代表の新居卓哉さん(39)=吉野川市鴨島町、自営業=は「初めて通りの中に入った人も多かったですね」と言う。「とにかく人がまず集まらないことには」と話し、今後も再生に向けた仕掛けを模索していく考えだ。平成の時代が終わろうとする中、昭和の名残はより貴重さを増している。