徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 溶連菌感染症が問題になるのは溶連菌感染症の後にリウマチ熱や腎炎が発生するためです。現在、先進国ではリウマチ熱を見ることはほとんどありませんが、発展途上国では溶連菌感染後のリウマチ熱の発生が大きな問題になっています。リウマチ熱の発生には溶連菌感染に対する診断・治療やその社会環境、宿主の素因などが関与しています。我国でも溶連菌に対する適切な取り扱いをしなければリウマチ熱発生の危険性があります。

 リウマチ熱は溶連菌感染による咽頭炎・扁桃炎の後に発生する自己免疫疾患です。主に関節、心臓、中枢神経、皮膚が侵されます。溶連菌感染症に罹ると必ずリウマチ熱になる訳ではありません。溶連菌による咽頭炎・扁桃炎の2~3%がリウマチ熱を発生すると言われます。溶連菌に罹った時に適切に治療すれば予防できるものです。

 リウマチ熱の症状の中で最も多いのは関節炎で60~80%に見られます。主に膝、足首、肘、手首などの大きな関節に多発性発生し、移動性であることが特徴です。

 心炎は40~60%に発生し、発熱および関節炎に続いて1週間以内に現れます。リウマチ熱に特徴的な症状であるばかりでなくその予後を決定する合併症です。主として心内膜炎を発生して弁膜症を来します。

 中枢神経症状としては舞踏病と呼ばれる不随意運動が見られます。大脳基底核や尾状核の障害が原因です。

 リウマチ熱の症状は全てが出現する訳ではありません。溶連菌感染を適切に治療することでリウマチ熱発病を予防することが大切です。