日銀徳島事務所長を経て2003年に阿波銀行系のシンクタンク・徳島経済研究所の専務理事に転身し、徳島の経済を見てきた。金融・経済の専門家だが、経営者以外で代表幹事に就くのは初めてとあって「歴代、県内を代表する企業のトップが務めてきた役職。責任の大きさを改めて感じている」と口元を引き締める。

 同友会は産業振興や防災対策、交通インフラ整備などの分野で国、県に政策提言してきた。四国の他県とも足並みをそろえ、四国霊場八十八カ所と遍路道の世界遺産登録や四国新幹線の実現を推進しており、今後も「四国内の同友会と連携して進めていきたい」と意欲をみせる。

 定住人口を増やすことが大きな目標だが、少子高齢化による人口減少に歯止めが掛からない現状を踏まえ「難しい」と感じている。見据えるのは交流人口の増加だ。経済研では「徳島LEDアートフェスティバル」や「とくしまマルシェ」を提案し、徳島に人を呼び込む催しを実現させてきた。その経験と実行力に期待がかかる。

 「タイムリーなテーマについてプロジェクトチームを立ち上げ、同友会ならではの提案はできないだろうか。多士済々の会員の意見を聞きながら考えていければ」と地域活性化の新たな取り組みを模索する。

 高松市生まれ。幼い頃に父親の仕事で広島市に移り、高校卒業まで過ごした。徳島市での生活は徳島事務所長を含め15年を超える。この間、徳島の文化に興味を持ち、県内をくまなく回った。

 「阿波踊りや藍染、人形浄瑠璃だけでなく、自然や景観も好き。経済界の人たちもフレンドリー」と徳島への愛着は尽きない。65歳。